表現活動をする上で人は様々なバックボーンを持つのだろうが、自分の場合は
どうだろう。
先日のオンライン授業で描く上で普段どんな
過ごし方をしているか、してきたかを聞かれたので掘り下げて考えてみる。
まあゲームだったり本を読んだりプラモデル組み立てたり色々だろうが、根幹にあるものはしごくシンプルなものだったりする。
バックボーンとは共感するものだ。
趣味でも何でも何をしていても常に
興味を繋げている何か。
そうなると僕の場合アウトドアに尽きる
のである。
とは言えみんなでキャンプにバーベキューで
ワイワイ…とはちょっと違う。
テントに寝袋、鍋担いで一人旅が
基本なのだ。
元々は父がアウトドア好きで釣りにキャンプに色々と連れてってもらったものだが
そこで火の起こし方やテントの張り方、
バーナーの使い方なんかに目を輝かせたものである。
大人になってからはバイクに道具を積み込んで色んな所に行った。
キャンプ場に泊まることもあれば山奥の道の途中や海岸に野宿もしたもんだ。
ただ共通していたのはひたすら絵を描く
事だった。
スケッチとも違って旅先でのその日の
出会いや出来事を思い出してテントの中で
描くのである。
どちらかと言えば日記を付ける感覚に
近かったと思う。
20代後半から30代半ばまではそんな
事を繰り返していた。
話は変わるが、ヘミングウェイの小説に
ニック・アダムズという人物がいる。
話によってはパブのウェイターだったり、
医師の父親についてインディアンの出産の手伝いをしていたり友達と好きな野球チームの話題を肴に呑んだくれたり。
まあ色んな話に顔を出すこの少年も
アウトドアが好きで、キャンプに釣りの
話なんかがよく描かれる。
ヘミングウェイ自身が若い頃の自分を
投影した少年のような気もするのだが
このニック少年のアウトドアの話は
とても共感して好きな話のひとつだ。
余談になるが小ぶりのフライパンに
アルミホイルで炊いたごはんに
塩胡椒は最高に美味い。
旅先には色んな名物があるものだが
そういう美味しさとはまた違うもの
なのだ。
そう言えば、土砂降りの夜中に無人の
キャンプ場に辿り着いたとき
こんな事があった。
遅い夕食をとろうと、
炊事場の水栓を捻るも水が出ない。
疲れ切っていて面倒なだったのもあり
近くの小川で水を汲み
ご飯を炊いた事があった。
朝起きてみると、昨日の雨は
すっかり上がり
透き通るような青空が広がる。
コーヒーでも沸かして眠気を覚まそうと
昨夜汲んだ水の入った
ペットボトルをふと手に取ると
水が黄色く濁っている。
雨で川の水も濁っていたのだろう。
とは言え腹の調子も悪い訳では無いし
なにぶん暗かったのでいた仕方ないと
思ったものである。
そんな訳で小川の方に行ってみると、
驚いた事にそこにあったはずの川がない。
つまりそこに最初から川などなく
雨で一時的に水が流れていただけ
だったのだ。
何とも間抜けな話だ。
他にも熊の多発地帯で地元のヒトも
寄り付かない場所で野宿した事や
道の曲がり角にテントを張って
ローリング族に突っ込まれそうに
なった事もある。
知らなかったとは言えこんな今思えば
ゾッとするようなハナシも旅ならでは
である。
だいぶ話が逸れたけれど、自分にとっての
バックボーンとは、こんな非日常の冒険も
根っこにはあるのではと思う。
今はこんな時期なので身動きも取りづらいが
また機会があればそんな気ままな旅も
してみたいなと思う。
ちいさなものがたり
長野県松本市を拠点に 転がるフリーイラストレータの 気ままな日常。
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